アズマヒキガエル
年に数回子ども向けの自然観察会の案内をしています。
4月にも実施する予定でしたがコロナウィルスの流行によって中止となってしまいました。
次は夏に開催予定です。実施できるといいなと思っています。
今日は観察会で出会うことができる生き物の一つである
「アズマヒキガエル」について紹介したいと思います。
アズマヒキガエルとは
ヒキガエル科のカエルで、都市部から高山帯の池まで幅広く分布する身近なカエルです。
体長は♂が43-161㎜、♀53-162㎜です。
日本には「ヒキガエル」と言われるカエルは「アズマヒキガエル」、「ニホンヒキガエル」、「ナガレヒキガエル」等数種類います。
その中でも「アズマヒキガエル」と「ニホンヒキガエル」は見た目がそっくりです。
アズマヒキガエルはその名の通り、北海道を除く東日本に広く分布しています。
ニホンヒキガエルは西日本に分布しています。
ただ、両種の移入は進んでおり、もともと生息していなかった北海道でアズマヒキガエルが発見されています。
アズマヒキガエルは強い繁殖力を持つため、北海道固有の在来種「エゾアカガエル」に影響を及ぼす可能性があるといったことが問題となっています。
そのため両種は国内外来種として国立環境研究所の侵入生物データベースに登録されています。
アズマヒキガエルの繁殖
アズマヒキガエルの繁殖は早春の短期間で行われます。
観察会では一匹のメスを複数のオスで奪い合うカエル合戦を見ることができ大好評でした。
オスは必死にメスに飛びつきます。他のオスもそれに飛びつきます。
メスの周りには何匹ものオスがまとわりつき交尾しようと争います。
下の方にいるカエルは窒息死してしまうこともあるほど激しい争いです。
争いに勝ったオスはメスと交尾し卵を産みます。
アズマヒキガエルの卵
アズマヒキガエルを含むヒキガエルの卵は長いひも状の卵塊です。
孵化、そして幼生へ
観察場所の水路はあまり大きくないため孵化するとオタマジャクシであふれかえります。
その水路に「お麩」を入れるとオタマジャクシが集まります。
これだけオタマジャクシがいても大人のカエルになれるのはわずか数匹です。
生き残った幼生は変態し、上陸し山へ戻ります。
上陸したての頃の体長はわずか1㎝ほどしかありませんが、成長すると10㎝を超えます。
体が大きいため泳ぎもジャンプも苦手です。
山の中をノシノシ歩きながら生活しています。
夏の観察会では大きくなった姿を観察することができました。
子どもの手からあふれるサイズです。
なおアズマヒキガエルは耳腺等の皮膚からアルカイド系の毒を出します。
毒が口などの粘膜に入ると痛みや嘔吐の症状が現れるため、
触ったらしっかり手を洗いましょう。
一年を通して同じフィールドに通うと自然の変化を実感することができます。
春は観察会はできませんでしたが、夏はできるといいな。